薬でなくても 信じて飲むと病気が治る?

 

ここで、薬に頼り過ぎる患者がいたと仮定しよう。主治医としては、不要な薬をこれ以上処方したくないと考えた場合、薬ではない白い粉をその患者に渡すことがある。多くの場合、粉薬の代用品は乳糖やビタミン剤、注射液の代用品は生理食塩水が用いられるという。

 

その結果、患者はどうなるかというと、すぐに元気になったり、症状が消えてすっきりしたりすることがあるそうだ。それも、患者の約三分の一にこのような効果が現れるという。

 

このように、効果のないはずの薬を効くと信じて患者が服用し、病気が治ってしまう現象や効果を「プラシーボ(プラセボ)現象」とか「プラシーボ効果」という。プラシーボとは、薬のことである。

 

プラシーボ効果が認められる疾患は、狭心症、癌など、現代の医療でも難治とされる病気にも認められるという。

 

特に効果が顕著な例としては、精神疾患、リウマチ疾患、各種の痛み、高血圧、消化性疾患がある。また、プラシーボ効果は、人によって表れ方が異なるそうである。

 

プラシーボの研究でわかったのは、病気を治すのは薬や治療の医学的・薬学的作用だけではないということである。近代医学でも民間医療でも伝統医療でも名医と呼ばれる医者は、巧みにプラシーボ効果を利用しているのだ。

 

また、通常患者にはプラシーボであることは伝えずに服用してもらうのだが、「プラシーボ効果があります」と説明されたものを服用した患者でも効果が見られたという。