なぜ「お清め」には「塩」が使われるのか?

 

葬儀から戻るとき、家に入る前に、塩を身体に振りかける。これは、不浄を払うためだと言われるが、どうしてその「お清め」には「塩」が定番なのか?

 

お清めの儀式は、罪や不浄を払うために行う「禊」という行為に由来する。

 

伊弉諾尊が冥界から帰ってきたとき海水で身を清めたという伝説があるように、海水には淡水よりも強い霊力があると信じられていた。
伊勢神宮でも、二見浦で身を清めてから参拝する習慣だった。

 

この風習は今でも「浜参宮」として残っている。

 

時代が変わって、海水での禊が簡素化されて、海草を振って身体の不浄を払うようになり、その後海水の代用品として「塩」が使われるようになったとされている。

 

ちなみに、不浄を払うための塩の振り方には、決まったルールがある。

 

最初に胸元に振り、次に背中、最後に足元に振るというものだ。頭から勢いよく塩をかぶる必要はない。

 

一人で家に帰ったときには、背中に塩を振るのは難しいので、肩口に振れば、それで背中に振ったことと同じ効果があるという。

 

忘れやすいのが、身体に振り終わったら、残った塩を外に捨てること。

 

これは、災いや不浄を家の中に持ち込まない効果がある。

 

だから、玄関先で立ち止まり、外側に向かって、目に見えない災いを追い払うように、残った塩を捨てるのである。